2017/08/31:努力は質か量か

◆他人との成長モデルの違い

同じ時期にポーカーを始めた友人がいるが、僕の方が彼より成績がよくなってきた。

そこで、彼に頼まれてプレイを見ることにした。

そのうちのいくつか気になったハンドでコメントをした。ただなかなか話が噛み合わず、そこで相手に言われたこと。

 

言ってることは正しいけど、あんまり教えるの上手くはないね。

 

最初はいっている意味が分からなかった。

 

友達は続ける。

 

人間って理解することと、実際に行えるように身につくことに普通は大きなギャップがあるはずなんだ。つまり、『何故、そうするのか』という正しさに加えて、『その正しさをどのような方法で実現するのか』ということが、それ以上に必要となってくる。

つまり、適切な指導というのは、『何故そうするのか』以上に『どうやってするのか』ということが重要なんだ。色々説明されて『わかりました』と答えた人がどれだけ実際に行動に起こせると思う?『じゃあどうするの?』と聞き返しても答えられない人が大半だよ。多分、その段階では人は上達ができない。

 

君の説明で何故、そうするのかという部分については確かに納得する点が多いし、正しいと思った。だけど、僕は同じ場面同じカードが来たときに、同じ適切な行動を行える気がしない。それは方法の説明が欠如しているから。

 

料理を上手にする上で、肉の表面温度の知識は確かに有益だが、本当に必要なのは中火で何分炒めるかという、より具体的な方法論ということだよ。この中火で何分というのは美味しさと本当に関係があるわけではないが、きっと表面温度の知識を知っているよりよほど美味しい料理を作ることができるはず。

 

君の説明では、極端に方法論の説明が少ない、何度聞いてみても『何故正しいのか』という理由しか出てこない。僕が求めているものがそれではない、ということは伝わったかな。

 

ここからは想像だけど、もしかして君は本質を理解していたら、反復作業のうちに段々と精度が上がっていくという能力の成長モデルを持ってるんじゃないかな。

もう10年弱の付き合いだから分かってきたけど、君はそういう手段を知らなくても、反復作業のうちに何となくできていくタイプなんだな、と思った。昔からどのゲームも強いからよくプレイについて教えて貰うけど、そもそも君の説明する理論から君の実際のプレイが演繹されない気がしていた。君のスキルの身に付け方があまりにボトムアップ過ぎるので、全く理論が体系化されていない気がする。実際君の説明や理論が君の実際のプレイと全然結びついていないことかなり多いと感じていたしね。

 

普通はその不一致は単純にミスという結果で現れがち、だけど君の場合は実際のプレイの方が正しいことが多いから、単純に自分の行動の理論化の失敗と捉えた方が良い気がした。

 

つまり君のスキルは基本ブラックボックス化されていて、君自身説明不可能になっているから、指導する上では材料不足になのかなと思った。

普通努力は質と量がバランスよく振り分けるべきだけど、君の努力の方向の質はエッセンスのみで、後は量のみで質を凌駕していくスタンスは人に勧めるには危険だよ。

 

 

 

さぁ、正しい努力とは何だろうか。