そもそもについて考える

 

メタ倫理学入門: 道徳のそもそもを考える

メタ倫理学入門: 道徳のそもそもを考える

 

 倫理学のそもそも、「良い」とは何だ。「良い」があった場合、我々がそれに従う必要はあるのか、など。そもそもがメタ倫理学らしい。

そのそもそもに対する解釈を、派閥とその批判の繰り返しで構造化する本だった。

 

多分実際はもっと複雑なんだろうが、全体感を掴む入門書としてはとても良かった。

 

 

まだ良いに対して答えが定まっていない中、自分たちの日々の行動に批判が可能なのは当然で、それに結構苦しんでいたりもする。

本書はそのような良さという判断の根拠に対しても様々な批判が可能であることから、自分(もしくは他者)の行動が批判可能であることが自然なように感じてくる。

 

他者に批判可能である状態は「道徳的相対主義」、つまり人それぞれだよね、と表現されるが、もっとそれ以前に私達の判断基準たる良さの不明瞭さがある気がする。それは相対主義自体が批判可能であることからも分かる。