正論が正しさの価値を毀損する

実現可能性のない、または実現へのプロセスを提示できない正しさの価値はどの程度だろうか。

 

正しいことを尊重したいとずっと思っていたが、正しいことを言うだけで具体的なプロセスを示せない人を見すぎて、正しさの価値が下がってしまっているように感じている。

やめて欲しい。

行動を行う基準

自分が何かを行う基準について気づいたことがある。

 

以下2点が揃うと行動に起こしやすい

・やったほうが良いなと思うこと

・似たような問題意識が自分以外で複数存在しているキッカケを見にすること

 

やったほうが良いな、と思ったことも誰も興味を持っていなかったら、タイミングが来るまで放置して溜めておく。

皆が興味を持っていても自分が納得できていなかったらやらない。

 

自分だけの基準でも、人だけの基準でもあんまり決めないようにしている。

 

非常にマイペースな方だと思われがちだが、行動の多くは他者がトリガーになっている。「会社ではやっている」とか「友達が話題にしていた」とか。

 

自分の意志や思いがあんまり強くないが、あんまり強い共感を抱くことも難しいので、自分の感覚を触媒に周辺環境と反応を起こす感じになる。

虎とジョゼと魚たちを見てきた

映画虎とジョゼと魚たちを見てきた。

 

映画館に向かうまでの街は結構振り袖の人たちがいて、駅前に成人式はオンラインになりました、というコロナっぽい文言があったが、振り袖を着て街を歩くということ自体が個人的な成人式になるんだろう。

 

自分は友人に誘われて、さいたま新都心までの電車に乗っていた。京浜東北線で一本の予定だった。電車に乗ったら最近はまっている詰将棋をとき始めた。

結構といたところで、電車内部の路線情報を見たら、乗り過ごしていることに気づいた。

電車を乗り過ごすことはよくあることなので、電車を降りて反対方向の電車に乗った。

2駅くらい過ぎたところで、改めて電車内部の路線情報を見たところ、どうやらさっきは別に乗り過ごしていなかったということに気づいた。

こういうこともよくあることなので、次の駅で降りて、反対方向の電車に乗った。

 

早めに出ていたがそれでも5分ほど遅刻しそうなので、LINEで「乗り過ごしたと思って反対方向に乗ったけど実は乗り過ごしていなかったので5分遅れる」と送った。「おう」と返ってきた。お互いこういうことに慣れているので、やり取りもシンプルになる。相手にコストをかけたことに特に悪びれる態度を取らないことは、一種の甘えに見えるが、この甘えによりコストを掛け合うことが親しさの表現になる、ということを当人に言ったところ、「まぁいいけど、気をつけてよ」と言われた。

 

映画が始まるまでに1時間くらいあるので、近くの喫茶店で時間を潰した。そこで「虎とジョゼと魚たち」の原作を読んだ。

1980年代、退廃的共依存、という印象を持った。主人公は流されるままに、弱い存在のヒロインを独占することに惹かれていく。そしてヒロインは主人公が自分と同じ、死んだような魚になっていくことに幸福を感じる。

 

こういう欲望って最近は隠蔽されながら表現されているよなぁ。天気の子の主人公も似たような欲望を抱えていた気がする。

 

どんな映画なんだろと興味が湧いた。

 

 

実際の映画はとても爽やかな青春映画だった。舞台が2020年で、小説が書かれた頃から40年経って、世界は多くのことが変わったし、トータルとして良い方向に向いていることが表現されていた。

 

原作では車椅子に乗るジョゼはエレベーターに車椅子で乗ることができず、抱えて運ばれているところを同じエレベーターに乗るおばさんに笑われたり、ホテルのスタッフは極力ジョゼと目を合わせないようにしたり、と世界から弾かれるものとして扱われる。

 

ただ映画では、主人公含めた登場人物はジョゼの車椅子について特に何も言わない。それは触れないのではなく、ただそういう人として扱う。駅のエレベーターは車椅子で移動でき、電車の移動も駅員がサポートしてくれて、観覧車に乗るところは車椅子から移動するところの描写すらなく「当然のように」乗ることができる。

 

序盤、車椅子にぶつかって無視をするおじさんが現れるが、主人公はそこに憤りを感じ、おじさんはおばさんに説教され、周りから笑われる。ただ迷惑なおじさんがいただけであり、ジョゼの問題ではないことがわかる。

 

 

昔の時代の存在としておばあさんが存在する。ジョゼが導入で坂を落ちていったときに「悪い誰かに押されたのだろう」と言う。これは原作と同じだ。

そんなおばあさんがジョゼにお茶をついだときに、「この子は足が悪いから自分でつげない」と言ったときに主人公が「ペットボトルとかやりようがあるだろう」と返す。

この感覚はジョゼを障がい者として扱おうとするおばあさんに対して、現代的な人そのものとして扱おうとする主人公にギャップがあって面白かった。

 

こういう風にジョゼは物語の中で、ずっと車椅子で移動する普通の人という扱いを受け続けるのがとても現代的だった。

 

 

主人公とジョゼの関係性も強い・弱いという、依存・非依存という関係性ではなく、対等なサポートする存在として描かれていて、良い意味で普通の青春物語の作法をなぞっていた。つまり、驚くくらい普通の物語でしか無いのである。

 

この辺は同じ障がい者がヒロインとして登場する聲の形で、ヒロインが主人公の生きる目的として置かれるところと対照的で面白いと感じた。

 

互いが互いの夢に背中を押し、ともに心折れそうなときにサポートしながら生きていく、という健全な関係性だけがそこにある。

それを障がい者というヒロインを起きながら達成したところに、虎とジョゼと魚たちの良さがあるのだろう。

2021年の仕事

仕事について思うこと。

プログラミングという仕事は好きでも無いし、嫌いでもないということは分かってきた。いくつか楽しいところもあるけど、土日や祝休日を捧げて向上を願うことはできないくらいの好きさ。

 

そのレベルのことをおそらく一生の仕事にしていくのは、まぁまぁ大変だろうという想像がある。すごい人はもっと凄くて圧倒的時間を注ぐし、若い人は自分より優秀になる。ただそれもプログラマという単体の機能で考えるからそうなるので、もう少し視野広げて、プロジェクトに参画するメンバーとして不可欠な役割になるという方が長期的には安定感がある気がする。

プロジェクトというのは生き物で、どちらかというといかに全貌を把握するかというローグライクなゲーム感がある。ローグライクなゲームはベースが同じだし、持っている装備も同じ中でメタ的なスキル(いわゆる経験)のみが必要される。

そして、チーム活動なので、十全な活動をすることより、足りない部分を補うという視点でやれば良いので、そこまでいけばそんなに難しくは無さそう。

 

それはコミュニケーションの場を整えることだったり、技術的な知識だったり、上に話を通す力だったり、ドメイン知識だったり、色々あるけど、どれも熱を入れられないので逆にどれも同じように見える。

崩壊

薄々気づいていたけど、世界を生きていると色々なものが積み上がっていく。 この積み上がったものは計画的に積み上げられたものではないのでただただ不安定で、新しいものをどこに積むべきか悩ましくなっていく。 別に崩れてしまっても何も困らないのだが、自然で積み上がったものをわざわざ破壊するのは何となく抵抗がある。 崩壊に意味があるなら良いが、意味のない崩壊は意味のない惰性より悪いように感じる。

2020年も終わり

2020年を振り返る。

 

■仕事の話

 

2020年は仕事をしていた印象が強い。そして、それはあまり上手く行かずもがくばかりであった。

今までの自分としての成果を考えるより、チーム全体の成果を考える必要があった。そして、結果は無残で、疲れた自分は何故人がちゃんと動かないのか、という愚痴や悩みに襲われることばかりだった。

11月-12月辺りは本当に仕事をするのが嫌だった。

 

良くないことが起こっているのに、ちゃんとそこに目を向けず、腐らせていく人がいることも分かった。

また、働きたくない人を働かせることもできないことも分かってきた。

そんな飛車角落ちのようなプロジェクトは当然のように上手く行かなかった。そして、それは自分にはどうしようもできなかった。

 

今年の半分くらいは会社で色々な人に上手く行かない、どうしたらいいだろうか、助けて欲しいという話をして回っていた。この活動自体は良かった。

この半年間はただただ人に助けを求めるだけの半年で、それはとても辛い時期だった。

 

 

逆に良かったプロジェクトもあった。11月くらいにリリースしたアプリは社内外の評判も上々で、今後の模範にしていこうという話になった。

良かったプロジェクトと悪かったプロジェクトの差は自分には人の差としか感じられなかった。それでも僕にはプロジェクトが良くなってほしかったので、人の入れ替えを上層部に訴えるだけだった。「この体制じゃ絶対良くならないです」と。

 

圧倒的能力で一騎当千のもとに圧倒的に不利な状況を挽回するヒーローになりたかったが、結局役割は助けを望むだけの市民だった。この無力感が苦しかった。

 

来年は今年の反省を生かして、正しく人を育てていかないといけないと思った。

 

 

■サウナ

今年はサウナに一杯いった。

年末も色々サウナ廻りをする予定である。

サウナは、ただそのまま居ることができて、これはとても幸福である。

 

■将棋

途中で初めて現在1級になった。今年度中に初段くらいになれたら嬉しい。

本当に少しずつ上達していく。